小事争論 こじ

アジア服・南国よろず屋ままかのボス。まだときどきちゃぶ台をひっくり返したりするけどだいぶ穏かになりました。

必要なものって

何を書こうにも言葉に詰まり、PCに向かっては唸ってばかり。そして気ぜわしく過ぎていったこの10日余り。

志ある取引先が被災地に援助品の直送トラックを出すと言うので、今はその荷造りをしている。少しでもお役に立てればと思って始めたがしかし、いざ荷を造ってみると本当にこれが必要なのか不安になる。ままかで作ったニットのサンプルは新品と言えるし猛烈に暖かいが、行き先に衣類が溢れていればやはりこれもゴミ。「赤ちゃん用品」「男性用防寒着」・・・分類してコンパクトにまとめているつもりが、ちょっとしたクセで扱いづらい厄介な箱になりやしないか・・・。このトラックは顔の見える方々への直送便だから「衣類はご法度」とか「食品は避けて」等の制限はないが、それだけに「主観のバランス感覚・常識の幅」を問われている気がする。とても緊張する。その緊張はどれ程テレビを観ても届かない実感の距離からくる。テレビを消して暖かい布団に包まってしまえば簡単に夢の中へ行けてしまうこちらの世界と、隔絶された極寒地で「あらゆる種類の限界」と休みなく闘う世界とのどうしようもない現況の違いを思う程に悩まされる。ほんのついこの前まで同じ様な生活をしてきた私達、ひとつの国の民。突然「被災者」になったからと言って生活者の価値観が変わる訳はなく、彼らの尊厳を傷つけない質の物を送り届けなくてはならない。分かっています。問題はその幅。私だったらユニクロの新品でなくても構わない。早く届けてくれれば中古の臭くないちゃんちゃんこで充分だ。だけど開封した人が瞬時にゴミと判断すれば誰の価値観ともマッチングなし。やはりただのゴミ。見た目のアンパイでチョイスをすると実際の使い勝手や品質の良さからは若干遠ざかるじゃないか、と・・・ああまたグルグルしてしまう。

ここ市川市はちょろちょろ水道の期間が4.5日程あったものの、他に目立った実害はないように思う。しかしお隣、ディズニーランドでお馴染みの浦安市は今大変な事になっている。都心に程近く閑静で緑が多く海も近くみんなの憧れ花火が見える高級マンションが立ち並ぶ新浦安。近くへ行くと必ず立ち寄ったパン屋さん、ベビザラス、うさぎを触りに行った交通公園、ランチだったらイクスピアリ。今やどうなっていることやら・・・。埋立地ゆえ道路に液状化現象が起きた。さすがのディズニーランドも広大な駐車場が液状化してしまってなかなか復旧できなさそうだ。市街の道路は酷い所で人の身長並に隆起したり裂けたり。同時に100箇所以上の水道管・下水管が破け、飲料水は自衛隊から給水を受けられる様になったが、目下の問題は下水。糞便を流すと破れた下水管から中身が町へ流れ出てしまう。簡易トイレも各所に設置されているものの追いつかず、市では便袋の支援を求めている。うちの配送地区の生協は事務所が新浦安に近いのだが、二階の屋根が落ちているそう。それでも「新浦安の被害を見たら軽い方だと思った」そうだ。「配達に行くと涙が止まらない」のは、他でもない液状化で剥き出しになった泥が乾いて粉塵となり、巻き上がっているのだ。「喉が痛くてマスクが手放せない」と。それでも、人々は割れた道路をぴょんとまたいで傾いたエントランスをよじ登って、マンションへ帰って行くと言うのだ!そして、お父さん達は毎日そこから都心へ通勤しているのだ!そう、周囲がなんともないだけに被災地としてまったく認識されていない悲劇。驚くなかれ計画停電も実施されている!もうとほほ・・・。かく言う私も隣を素通りする東北への支援物資を荷造りしているわけだが・・・被災地ごとに必要としてる物はまったく違うってことだよ。新浦安の人達にちゃんちゃんこは必要ないのだ。電気がありお金もあり通勤もあり荷物も届くが、ガソリンとお風呂とトイレがないのだ。せめてガソリンがあればねぇ毎日うちのお風呂来てくれていいのに、と南行徳の人達も口々に言ってるんだけど・・・。

昨日からシェラトン、ディズニーリゾート等7つのホテルが市民に入浴の特別支援を実施している。夢の国のホスピタリティー、スピリッツは失われていない!少し私がほっとした。ありがとうホテル。

新浦安の被害状況