小事争論 こじ

アジア服・南国よろず屋ままかのボス。まだときどきちゃぶ台をひっくり返したりするけどだいぶ穏かになりました。

リス族のiPadケースのケースを作りました。

LISU people's iPad cover

 

サイトの商品紹介ページとお話はダブりますが、ちゃんとここにも書いておこうと思って。

iideeiiさんがNHK岡山の取材で、タイの田舎の貧困の在り様を目の当たりにしてより続けて来られたフェアトレードついてのお話しをされており、私も生産者と関わる中でずっと同じことを感じてきましたから、うんうんと首折れながら聞いていました。ままかは長い事冬物はネパールで製作していました。ほとんどがままかより規模の大きい会社でしたが、街で小物などを気まぐれに発注するとたかだかままか程度のお店であっても、いつの間にか彼らの家計のカギを握ってしまう事も少なくありませんでした。わずかな数でも家族総出で臨んでくれたり。焦ります。でもその土地に足を踏み入れたら「知らねえわ」とは言えないのです。末永く淡々と共に歩むことが何よりも大切です。誰かと何かを作り出そうと思ったら、いつも自分がフェアであるかどうか問い続けなければなりません。

 

今回お届けするiPadケースごと入れられるソフトケースは(ケースのケースだ)チェンマイの少数民族の技術や文化を保存する団体との共同製作です。

20数年前まではどこで何を買っても日本とタイとの経済格差で「あなたにもいい値段、私にもいい値段」が成立しました。今は材料も縫製もタイの右肩上がりの急成長で、昔と同じ値段で販売することが本当に厳しいです。少数民族の商品も同じ様に値上がりしています。しかしその部分においては、私は遅すぎるとすら思っているのです。

 

商品紹介ページより-----------------------------


本物だからいい値段します!
製作にだいぶかかりましてね・・・
うちの利益を乗せる隙間がなかったのでw
この度の利益はほぼほぼ団体へ!
そう言う事もあるさ。

ままかを20年やってるその最中でも歴然と変化がありました。彼らの布類がヨーロッパで注目されたり、日本に留まらないアジア雑貨ブームが広がる中、長く保存されていた貴重な布もバイヤーから安く買い叩かれ、なんでも現金になりました。古布がなくなれば化繊やケミカル染料を使って大量生産。そのうち器用なコピーが出回ります。
いま市場でよく目にする華やかなミシン刺繍やプリントは彼らの物ではありません。でもすっかりそれは土産物として定着しています。安くてかわいいなら売れていくし、それはそれでいいのかも知れません。でも、それらが少数民族の物ではない事は知られて欲しい。そして「本物」として彼らの生活や文化はもっと尊重され、技術はもっとずっと評価されるべきだろうと思います。とにかく今は技術の温存と後世への継承が関わる者の使命です。

ままかがスタートしてすぐに少数民族の商品はコットンが化繊になり、草木染がケミになりました。生産者は食べていくためにその足を止めることは出来ません。買い手がマインドを変える事です。「こういうのじゃなくてもっと品質のいい物が欲しいんだ」と口に出して求め、認めたものを適正な価格で買うこと。シンプルだけど大事なこと。

近い将来、ままかではもう無理なくらい良質な素材で昔ながらの技術で、新しい物が産まれてきます。そういう時代が訪れることを祈って。
微力ながら一緒に製作させて頂きました。嬉しかったです。

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少数民族の物はかわいいのにプチプラ!

でも皆がそう思っている物は似ていなる物。

そのプチなプライスすらも少数民族の手に渡っていない。

 

ままかは創業して間もなく、ベトナムの北部のサパやバックハーまで赤ザオ族、黒モン族、花モン族に会いに、本物の藍染や刺繍を求めて行っていました。持ってる物なんでも現金化したくて、私の前に長い長い列ができます。大急ぎで目利きをしながら、どんどん買っていく。ボロボロでも部分的に凄い刺繍がある物はけっこういい値をつけました。評判を聞いたのか朝からホテルの周りは黒モン族の皆さんでギュウギュウです。

彼らに芸術をやっている気などサラサラありません。

だけど買いに来ているヨーロッパのバイヤーなどは、これを芸術品として美しいフレームに入れて展示会に並べます。30円で買った10cm角の布に3万円とかって値を付けて売ります。それが悪いってんじゃないんです。本当にきれいに整えられているし、古刺繍ファンは喜んで買われていくのですから。

だけど彼らの手にそれだけの価値があることを誰も彼らには教えなかった。

ままかだって同じ事。買取価格だけは気を付けていたけどやはり彼らが今持っている物を引っ張り出すことしか出来ていませんでした。ホーチミンの街に溢れるチャム族のスカーフを市場のおばちゃんが「色落ちが少なくなって柔らかくなったよ」って言った時、慌てて生地を揉んでみたらそれは明らかにアクリルでケミカル染めでした。「早く買わないとコットンのチャムスカーフはもう市場に出ないよ」先輩ショップが教えてくれたのはそのずっと後です。もうどこの市場の物も化繊でした。カンボジアにゴールデンシルクを買いに行った時も、もううかうかしていられない予感がしました。なるべく安く買いたいけど、いい物に関しては少し高くても信頼できる所で買わない事には、もう本物です!と言い切れなくなってきていました。そうやって安くてかわいい!に押し出されるように本物が居場所をなくしていったことを、どうか皆様少し心の中に留めておいてください。

 

もう古布や古刺繍を見つけるのは難しい時代になりましたが、これからの彼らは技術を高く評価してくれる場所で、すてきな物を生み出していってくれたらいいなと思います。ままかもポップアップの時には、NGO団体製作の「本物」をお持ちします。

 

えー、リス族のiPadケースもね、よく出来ましたー。

12月末のイベントに間に合わせて発注したのに完成したのは今年3月末!!

できたよーって荷物が届くたんびに全然iPadが入らなくて大変でしたけど、ここにあるやつは全部大丈夫ですwwwww

 

ではまた!

 

LISU people's iPad cover