小事争論 こじ

アジア服・南国よろず屋ままかのボス。まだときどきちゃぶ台をひっくり返したりするけどだいぶ穏かになりました。

双子鏡

うちの子らは毎日映画を1本観る。毎日だ。

その間は静かだし機嫌は良いし散らからないしで母は楽してしまうわけだが。

いえいえ、手を抜いてやろうって気はないのだよ。

しかし結果的にはDVDに子守をさせてってことになっていて・・・

時々心配になり

「お絵描きしようか」とか「ワークブックするか?」とか誘ってみるのだが、

「今日は何観る?」の話の方が楽しそう。

保育園児って家にいる時間が極端に少ないので2時間も映画鑑賞に時間を

使ってしまうともう他には何も出来ない。もたもたしてるとお風呂やご飯

だけでも結構時間がかかるから帰宅!風呂!メシ!DVD!寝る!が

怒涛のスピードで行われる。

DVDの間、母は後片付け、園から持ち帰ったすごい量の洗濯物との格闘、

やけに細かい明日の支度にと、バタバタしている。

せめて一緒に観てやれればいいんだけどとは思っていますが。

そうこうしていたら、凛之助がDVD依存症みたいな事を言い出した。

観ている映画の終盤もっとも盛り上がっている最中に「これやめ」

「これもう終わりにして次の観よう!」と言い出した。

みんな楽しんでるのになんだ、いったい。

もう半泣きで懇願「これ止めて!次の観よう!すぐ次の観たいの」

絶えず刺激が向こうからやってくる快楽に耽溺する4歳児。

終わるのが怖いのか。

そしてその夜は珍しく夜泣きで起きてきて、ジュースで一休み。

深夜に帰宅した父と寝室へ戻った。

「りん君、ちょっと君は病気のようだからしばらくDVDはお休みに

しましょう」と言うと「そうだね」と素直に答えた。

へ~

と、思ったが翌日はやっぱり「今日何観る?」ときた。

それでも「少し脳みそはお休みします」と言うとまた素直に納得して

ここ3日間はヒーロー雑誌を見たりおもちゃで遊んだり、馴れない民放の

テレビを観て驚いたりなんかしてなんとか凌いだ。

んで本日、土日とも仕事で父が不在と言うつまらない連休にせめてもの花を

添えてやろうかと大好きなトランスフォーマーを解禁した。

それはそれは楽しく鑑賞していたが、あれ?これってこんなに長かったっけ?

就寝時間を過ぎてしまいそうだ。

「もしかしたら全部観られないよ。そしたら続きは明日ね」と言っていたが

「ではこれまで」となったらやはり大泣き。

しかしモカとひょうはもう眠くてレロレロ。大泣きに耳をふさいで

「すみませんが二人は寝ますよ。上に行きます」と言うと

「寝かしたら戻ってきてね。ワー[emoji:e-259]」と悪びれず居残る覚悟か!

そしたら突然泣き声がサラウンドになり振り返るとひょうが号泣

「なんでひょうちゃん泣いてるの?!」と聞いたら

「りん君が1人で下にいたら淋しいだろうなと思ったら悲しくなったの」

人の淋しさを思って悲しいのはつまり君自身が淋しいと言う事だね。

「りん君、ひょうちゃんが一緒に寝ないと淋しいって言ってるよ」

と、言うといささか驚いた顔になり

「りんくんいっしょに上がろうよ!ワー![emoji:e-259]」と泣きじゃくるひょうに

なんでお前泣いてんだと困惑した顔にもなり

「りん君、それでもDVD観たいの?ひょうちゃんかDVDか?どっち?!」に

「DVD」と即答。

「はいはい、じゃあ上に上がりましょう。ひょうちゃんもう勿体無いから泣かない。

ひょうちゃんよりDVDが大事だってさ~。終わったら電気消してね。お休み!」

わー[emoji:e-259]わー[emoji:e-259]わー[emoji:e-259]わー[emoji:e-259]わー[emoji:e-259]わー[emoji:e-259]わー[emoji:e-259]わー[emoji:e-259]祭りだ祭りだ。

モカまで半べそ←これはお願い寝かせてと言う意味に思いますが

結局わー[emoji:e-259]わー[emoji:e-259]はくっついて上がってきて布団に入った。

「かーかんお願いがあるの。時間がないから夜の言う事聞くよ」

泣いて眠くてもうめちゃくちゃですが

「夜、時間のない時には言うことを聞くからもう許せ」と言っているようだ。

「一緒にいないと淋しいなんて言ってもらえるなんて幸せなんだよ」と言うと

「うん」と言ってお腹を叩き「なんでポコポコ言うのか?デブなのか?痩せてるのか?」

とすでに別のところへ行かれたようだ。さすが打たれ屋。

思えばこのDVD依存症的な事を言い出したきっかけは

「チャーリーとチョコレート工場」だった。

その後、チャーリーとチョコレート工場の話題になると「その話もうやめようよ」と

言い出したので聞いてみるといろんなシーンを回想してはちょっと涙目になっている。

途中で止めたかったのもチャーリー。夜泣きしたのもチャーリーの後。

チャーリーじゃない映画だったら何でもいいからチャーリーじゃないのをどんどん

やってくれ!と言っていたのが、闇雲に観たがってる様にみえたようだ。

その時すでに「りん君はチョコレート工場に行ったらあんな目に遭っちゃうんじゃ

ないかって思って観るのが怖いの?りん君はいい子だから大丈夫だよ」と言ってたけど、

まぁそうは言っても怖いものは怖いだろうしな、と思うに留まり・・・

今思えば私の好みが影響して「まさか」のカテゴリーに入れてしまったかも。

チャーリーとチョコレート工場大好きな母。

いかんせん、これこのまま封印するだけじゃもっと恐怖が増幅するのでは?

一度ぴったりくっついて、かつ解説しながら観直ししないと。うまくいけばいいけど。

どんな映画も上映初回はなるべく一緒に観る様にしてる。とは言えやはりたびたび

洗濯物見に行ったりなんだかんだ席を外すのだが、この映画もしかり。

あ~確かにこの映画はかなり気配りして賢明だったよな。それを知っていて・・・

悔やまれる。

凛之助は彪よりやややんちゃで、概ね聞き分けの良い几帳面で努力家の彪と

比べられると確かに誉められ回数は少ない。

母からの叱咤回数は兄妹No.1は言うまでもない。

自分に正直で明るくタフな彼の性格に乗っかって気さくにはたいてしまう母。

そんな日常に「どっちかっていったら僕は悪い子だ」って思い、

チョコレート工場へ行ったらまず「生き残れない方」と思ったか。

一方、彪は「僕は絶対チャーリー」と思って観ていたかもなぁ。ああ。

「僕は今日もチョコレート工場みたいな」

「いや!」

「りん君はチョコレート工場に行ったらあんな目に遭っちゃうんじゃないかって思って

観るのが怖いの?りん君はいい子だから大丈夫だよ」

「りん君はさっきモカちゃんのことギュってやったしおもちゃ壊したしね」

「そんな程度じゃ飴伸ばし機でぺったんこにされたりしないよ。大丈夫」

「じゃあブルーベリーになっちゃうかもよ!うふふ~」

「いや!僕は観ない!」

って言ってたな~

これ一方的なわけでなく逆になるパターンもいくらでもある。

どっちが得意でどっちが下手でどっちが合っててどっちがダメで・・・。

一緒にいるといっつも自分と向き合う事を余儀なくされてちょっと大変。

双子は合わせ鏡。

相手の事は自分のことよりよく見えて、それは結局自分のこと。

でも一緒にいないと淋しいんだね。

大変だけど、たぶん幸せなことだから大事に思って欲しいと思う母なう。

夫まだ帰りませんが大丈夫でしょうか。もうすぐ午前2時だぜよ。