思わせぶりな恋人達
順調に分割が進めば3日目(採卵日を0と数えて3日目)に移植をする。
しかし受け入れ側の母ちゃんがこんな状態で、出来るのだろうか。
まずは、電話をして卵の状況を確認する。
すると、培養室の女性は少し落胆した声でこう告げた。
採取出来た卵は4個。
そのうち1個は変成、1個は受精せず残念でした。
残り2個ありますが、これがまだ4分割と5分割と分割が遅く、
赤ちゃんになれる物なのかどうかの判断がつきません。
今日の移植は延期とし、明後日にもう一度電話して下さい、との事。
すーっと心が暗転。
ついでなので、私のパンパンに腫れたお腹についてお話しすると、
水分をたくさん摂って寝ててくださいとの事だ。
そりゃ確かにこのお腹を見せに行くこと事態がもう自殺行為に
思えるもの。そうするしかありませんよね。
あんな痛かったのに、ダメそうだな~
頑張れ卵!まだまだ死ぬのは早い!
あんな痛いの、もう一回出来るかな~
いやいや、まだダメと決まったわけじゃない!
期待と不安を行ったり来たりしながらも、気持ちはほぼ
次の採卵への恐怖に身構えていたのであった。
さて、その2日後、もう一度卵の確認の電話をした。
コールの間、私は私に叱咤する。
どんな結果になっても、心底がっかりするな!
まだまだ始まったばかりだぞ、と。
しばらして聞こえてくるキレイな受付の女性の声。
なぜか培養室へ繋ぐことなく、この人の口から
「今日、移植しますのですぐおいで下さい」とのお言葉。
ええ?!
そうなの?!
状況を知りたいので、培養室へ電話を回してもらう。
2個の分割遅れ卵の内1個が、その後急ピッチで成長したそうだ。
今、移植には最高の状態。
胚盤胞AAと言う素晴らしい称号を頂いた。
もう1個は1日遅れの分割で未だ双実胚とのこと。
卵よ。どうした!
何があった?
母ちゃんの調子が戻るのを待ってくれたのだろうか・・・
この日から私の体調も格段に良くなっていたのだ。
緊張にパスモを持つ手も震えてしまう。
ともかく電車に飛び乗った。