失敗
しかし、せっかく採れた卵も1日とて持たずに崩れてしまった。
今期は以上であっさり終了、失敗である。
初日の内診で院長から
「あなたね、前の病院からの死刑宣告ですよ。いや死刑は執行さていたね」と、言われていた。
相変わらず素敵な言葉のチョイスであるが、
つまりどういうことかと言うと・・・
前の病院で使っていた誘発剤の影響で、古い卵が残ってしまったかもしれないって事だ。時期に反して卵胞が大きく、内膜も厚い。
それは、排卵し損ねた古い卵胞を抱えていたからではないかと。
しかし他のドクターは他の諸状態を加味して「古いとも言い切れない」と言う。
「じゃあこうしよう」ドクターは言った。
「初回成功報酬制を適応するから、ダメもとで試してみたら?」と。
このドライな感じ、ここならではですなぁ。
さて、、、、私は迷った。
確かに失敗しても施術費はかからないけど、保険の利かない
薬なんかの実費はかかる。それはけして安い出費じゃないのだ。
だったらきちんと体調を整えて来周期から臨むべきかなぁ・・・。
じっと考え込む私の目を見てドクターは言った。
「出来ちゃえば、それで終わりだよ。すべて終わり」
うおー
そうなんだなあ、悩みも不安も期待も通院も注射も薬も、ぜんぶおわり。
「たぶん、院長も行け行けどんどんーって言うよ~(笑」と
うおー
悪魔のささやき。
「出来ちゃえば、それで終わり」
そう、不妊の苦悩はまさにそこにあるのである。