小事争論 こじ

アジア服・南国よろず屋ままかのボス。まだときどきちゃぶ台をひっくり返したりするけどだいぶ穏かになりました。

独りぼっちのうたた寝は2

そもそも双子の妹ってかなり孤独なのです。

ツインソウルで結ばれた双子の兄たち。双子ならではの誰も入っていけない濃密な結びつきは、時にモカを疎外し拒絶してるかの様に見える。モカはその理由を歳差と性差があるからだ、と自分を納得させてきた。「モカは女の子だから遊びたいものが違うの」「モカちゃんはもっとかわいいのがいい」物心ついてからというもの、やたらと「ピンク!」「女の子のやつにして」と言いぬいぐるみを並べて子育てごっこや、お気に入りのバッグにハンカチやリップを入れてのお洒落ごっこを夢中になってひとり遊びしているのは、彼らとは違う自分の存在を肯定しようとする作業なのだ。よく自分そっくりの人間が絶えず傍らにいる双子は「私は誰?」と言う問いに直面し続けているのでアデンティティの確立が早いと言われているけれど、双子の下に生まれる子はもっと早いよ。これ男の子だったら、自分が置いていかれる意味を納得するの大変だっただろうと思う。モカは女の子でちょっと救われてるんだろう。

母は娘の異変にノーマークだったことにちょっとダメージを受けて思わずツイートしたりしていたら、なんと日本にいる母幸子がアカウントも持たないのに、どうにか私を探し当てそのツイートを読んでいたらしい。「もうかわいそうで切なくて泣いて泣いて」とラインの無料通話で。「考えたんだけど、お兄ちゃん達と同じクラスに入れたらどう?やめるよりいいわよ。どうせ眠気にやられてるなら、独りでいるよりましよ」出た。さすがアナーキストの私を育てた母ですよ。一番常識的な顔して反骨精神に溢れた意見を持ってくる!「えー」とは言ったものの、考えてみれば今までワンクラス保育だったから、体操も英語も工作もみんな一緒の事をやってきてるんだものね。算数がちょっと難しいだろうけど、おマメとしているんならそこは突っ込まれないでしょうし。来年もまたレセプション2をやればいい。

これ日本の幼稚園だったらやっぱりそううまくはいかないのではないかと思うけれど、先生に相談したら「そうそう、それはちょっと私も考えてました」と。「あのクラスはまだ小さい子ばかりだからコミュニケーションが難しいんですね。ブロックを持たせるとブロックだけを全員無言でやってます。シーンとしていて。声掛けしても誰も答えないです。それに30人いるうちの5人しか英語を理解しないので、みんなまだまだ誰とも話せないんですよ」と。「ちょっと大きなモカちゃんにはつらいですね。それは気になりますよ」

速効、来週からモカさんはレセプション2へ移籍です。

会談が落ち着いたころ先生が「今日はモカちゃんが私のところへ来て「ママに会いたい」と泣いたんです。今日ママ先生とお話しに来るよって言ったら「必ず呼ぶように」と言われてしまいました。呼んだら帰りたがるでしょうけど・・・どうしましょう」「いや、約束したならそれやらないと大変なことになりますから、呼んでください」「でしょ?呼んできます」と先生が退席した。タフレディーの怖さはやや浸透している模様。連れて来られると堪え切れずに顔を歪めて、遠慮がちにおずおずと近づいてきたので私が膝に乗せると胸におでこをくっつけてじっとしていた。先生に他の用件を話し終えたので「じゃあ、かあかん帰るよ」と言ったらわーっと泣いたけれど、「モカちゃん、今日のランチなんだろうね。見に行かない?」って先生がキャンティーンに誘ったらちょっと目がキランと輝いた。先生と手をつないで厨房へ行きメニューを尋ねると「ガーリックチキン」。別れ際にまた涙を見せたけれど「ガーリックチキン」だものね。黙って靴を脱いで教室に入っていった。そして泣き顔を心配した先生の胸に飛び込んでここぞとばかりに甘えていました。

最初の衝撃でここまで話は流れてきたものの、実はこのまま放っておいても結果的にはオーライだったかなとも思っているのです。まずモカの状況をヌイさんも含め担任、スクールコーディネーターはもちろん周囲の大人達すべてが知ったことですごくモカは癒されました。自分に絶えず視線が注がれる安心感。これは置いていかれがちな双子妹にとって一番嬉しい状況なのですね。これが小学校高学年ともなると難しいでしょうけどね。それから「行きたくない」と言いながらド派手なカチューシャをスーパーで買って「これ明日して行こう」とお洒落に取り組む姿勢がいっさい崩れることなく、また食欲が衰える様子がまったくなかった事。これは生きる気満々。彼女のタフネスは失われていない事がよくわかったから。

とは言え、やはり退屈は苦痛なのでクラス替え出来て本当に良かったです。

インターナショナルは年齢も文化も様々な子ども達で溢れています。小さな差にあまり意味はないし、実質的で合理的な事であれば受け付けてもらえるし、親が子どもの第一の養育者でさらに顧客であることも重視されている様に感じます。モンスターペアレンツなんてとんでもない。改善案や意見を学校に伝えるのは親として当然のことなのですね。

相談会が終わって、車に乗り込む時に「ヌイさん、モカをりんひょうのクラスに入れたよ」と言うと「あー!それはいい!よかった!」ととても喜んでくれた。「さっき、ヌイさんが門の所に立っていたら先生に連れられてきたモカちゃんがヌイさんを見つけました。そしたらモカちゃんヌイさんに連れて帰れって「ゴーホーム!ゴーホーム!」と叫んで、先生の手を振りほどいてラナウェイしようとしていました!」とヌイさんと車内で大笑い。いやいや、必死だったんですよ、彼女も。

ああ、来週からの新生活。

調子に乗って兄達の頭をぶつ光景が目に浮かびますが、ひとまずよかった

ご心配くださった皆様ありがとうございました