小事争論 こじ

アジア服・南国よろず屋ままかのボス。まだときどきちゃぶ台をひっくり返したりするけどだいぶ穏かになりました。

12歳女性・コロナ陽性・入院隔離~その①

外出先から帰ると「百伽ちゃん具合悪いって寝てるよ」と。

おでこを触ると、これはかなりの熱。

彼女は幼い時から、あれ?って思うとゴーゴー熱を出していて、薬を飲ませるのが難しいほど深く深く眠り、翌朝にはむくりと起き上がってくる。ほんとに体からゴーゴーって音が出てるように眠るのだ。きっととてもいい体質なのだろう。

まぁそうは言ってもこのご時世なので、目が覚めたらATKしなくては。

 

さて、ハラハラしながらキットを開封する。

もし、陽性だったら。

私はふだん世間などどこ吹く風で生きているけど、人にうつしたかもしれないことがとても怖かった。もっと言うと、学校が閉鎖になったり、ショッピングモールに消毒が入るとか、世間をお騒がせしてしまうことがとても怖ろしかった。なによりノンワクチンでうつったことをきっと病院に叱られるだろう。

ああ、やだなぁ・・・

娘がふうふう言いながらハンバーガーを1個をたいらげ、兄妹であれこれやりあってるのを横目に、そんなことでドキドキしていた。

 

待つこと数秒で、陽性!!

ラインがくっきりと出た!

 

今日は金曜日でお友達がたくさん遊びに来ていた。

キャンティーンでランチしたお友達も心配だ。

双子にお友達への連絡をいいつけ、娘の部屋を全開換気で扇風機回し、ご本人を幽閉した。夫と校長先生にLINEしながら清掃開始。彼女の使っていたカバンや食器を消毒、ドアノブを拭きながら上階へ移動し、素っ裸になって陰性者用のトイレ浴室を徹底的に清掃消毒。最後に自分を洗って消毒。気付くともう日付が変わっていた。

へとへとで降りてくると、双子が興奮してまだチャットしてる。

どうやら今の所、うちに遊びに来ていた子ども達はみんな元気。中でもランチから放課後までぴったりとくっついて遊んでいる仲良し女子は、別途わたしからお母さんに連絡した。そして昨日私が会っていた私のお友達にも。潜伏期間の平均が5日間だとすると、発症前に会った人にも配っている可能性がある。皆さんから「誰から移されたかなんて、関係ないですよ。今は誰だって感染する可能性があります。どうか責めないで」とお言葉を頂いた。感謝しかない。だけど、やっぱり「申し訳ない」と口から出てしまって申し訳ない。私もきっと誰かから感染の連絡をもらったら、そう答えると思うんだけど、自分が(我が家が)原因の一端を担ったと考えると、どうしても呑気に過ごしていた日々に罪悪感を感じてしまう。

 

娘はいつものようにゴーゴーと眠っている。さっきまでいい匂いのするこのピンク乙女ちっくな部屋も一気にそら恐ろしい雰囲気に。どうしても側に寄ることがはばかられ、様子を確認できずに子や親を悪化させてしまう人もいるだろうな。ましてや他人にはただ恐怖でしかないだろうなと思う。なるべく、家族でがんばろう。そうは言ってもタッキーは単身赴任中。遠くのタッキーと双子とわたし、やや心もとない。

 

とにかくまずは、タッキーと電話で来院方法について話し合う。私は運転が怖くてハンドルを握らないうちにうっかり免許を失効した。タッキーもいない今、我が家は車とは無縁だ。それでも暮らせちゃうバンコクだから日頃はまったく困ってないけど、もし陽性者が出たらどうやって運ぼうかね、というのは度々話題になってはいた。会社は保険を用意してくれているが(なにより最高です)車の準備はしないと決めたそうなので(oh)サミティベの電話番号を渡され後はグッドラックと。朝7時に電話をして指示を仰ぐようにと言われた。

 

猫ズが娘の部屋に入りたがって仕方がない。ふだんそんなに執着してなかろうに。きっと何かが隠されているのを感じて、気になってしかたないのだろう。

 

3時間おきくらいに部屋を覗くが、娘はゴーゴー音を立てて燃えている。

7時ぴったりに電話をすると日本語の流暢なタイ人男性が対応してくださってPCRの予約は完了。車の相談をすると、わりとすぐ予約出来るような明るい声で「有料になりますので、一般タクシーなどご自身で用意されてもよいかと思います」との流れ、うっかり電話を切ってしまった。でも2分後に「やっぱそれは無理」とかけ直すと、今度は日本人の男性が出られて「現況、配車も容易ではなく出来るだけ自力で来院してください。今一度がんばっていただいて、どうしてもということであればまたお電話ください」と言われてしまった。しっかりとマスクをして一般タクシーを利用してもよい、それは患者様がお決めくださいとのことだけれど、すでにATKで陽性が出ている人をタクシードライバーさんに会わせるわけにいかないし、その密室に双子も乗せたくはない。窓全開で2台に分乗するか、いやぁタクシーは無理じゃ・・・。と思いつつ、はい、わかりました。もういっかいがんばります、と電話を切った。配車サービスをしているお友達や、タッキーのお友達に声掛けをお願いして2時間くらいがんばった。けど、もういいですか・・・wとサミティベに再度電話。タイ人女性が「有料ですがよろしいですか?」「おいくらですか?」「片道1000Bです。検査は1時間ほどで終了しますので帰りの予約も要りますよね。一緒に予約しましょうか?」タイ人だと値段聞きやすい俺。「よろしくお願いします!」「空車を確認して、また折り返します」で、よし!車決まった!同時にタッキーのお友達からも車の用意出来たよ!と連絡をくれたんだけど(感謝感激)やはり一般の人をなるべく巻き込まないようにしようと、病院車を利用することにした。

 

娘を見に行くと、目覚めてぼんやりとスマホをいじっている。

「かあかん、Pちゃんもずっと休んでてね、だいぶ前から症状があったけどね、風邪だと思って学校来ちゃってすぐポジティブになったんだって。でも家族はみんなネガティブだから学校でうつったって言ってる」「学校に連絡したって?」「ううん、まだ言ってないんだって」

・・・おうふ早く連絡してくれていれば、とは思ったよね、でも発症の順番が感染の順番ってわけでもないのだよ。やはりこの発想は不毛なんだよなって思う。

 

私自身も、体調不良をコロナだと思いたくないお友達本人も、そしてなかなか学校に報告できないこの子のご家族も、感じている「不安」。

手を挙げる事のハードルの高さよ!

コロナはやはりすごく社会的な病「罪」なんだなぁと実感する。至らない感染症対策を責められ、拒絶され、排他されることへの恐れ。さらに医療崩壊の一端を担ってしまうのではないか(と、言われるのではないか)意図せずしてあちこちを封鎖させ経済的テロリストになってしまうのではないか(と、言われるのではないか)という怖さ。いつも誰のせいでもないどこから貰ってもおあいこだ、と言っていたことなのに、自分が原因になったとたん「病気の事だけ」を考えることが、とてもとても難しい。

 

予定時間よりだいぶ早くサミティベ号が到着。

190cmはありそうな大きなお兄さんが、ドアを開けてくれた。大きなワゴンなので快適だし、アクリル板もはめてあるのでこっちが安心。道を間違えたり、PCR専用の駐車場に入っていくのも迷うわけなくてストレスフリー!

 

駐車場内の検査場に到着して、さっそく書類なわけだけれど、スクンビットは初見参ということもありけっこうな量。書類に不慣れな双子(英語だからまだよし)と力を合わせて4人分仕上げる間に、娘が貧血で床に座り込み、思わず「横になっていいよ!」と叫んだらコンクリの地べたにぺしゃんと寝た。「立ってください!」と看護師さんが言ってるけどすぐには無理だろう、顔面蒼白だ。車椅子が飛んできてぱっと乗せられそのままバババっと足早にエマージェンシーへ。ベッドに横になったら、やがて落ち着いてドクターの質問にも答えられていた。たけど「思いのほか低酸素なのと熱が高いからこのまま入院しましょう」速攻入院決定。「お母さんこれからX-rayも撮るしいろいろあるので、病室が決まるまで一緒にいて下さい。そしたら荷造りに一度帰っていいですよ。小児科は付き添いが必要なのです。2週間と長くなります」と。そうなんだ。私タクシー乗って往復していいのかな?・・・と思いつつ待ち体勢で座っていたら「双子が帰るけど一緒に乗らないの?」とエマージェンシーの看護師さんが走ってきた。かれこれ説明すると「あなた自身がまだリスキーなのにタクシーなんかで往復しちゃだめよ!はい乗って!」と!ダヨネ!ということでとっとと乗車。もう冒頭からタクシーにまつわる疑問でいっぱいだった私的には、これが一番の正解だと思うんだけど、聞く人によって正解が違う。正解は自分で選んでそれがタイランド。

 

10分くらいで荷造り完了そして病院へ。

また大きなお兄さんが扉を開けてくれて、裏口の貨物用エレベーターから私を病室まで連れて行ってくれた。誰とも接触せず部屋まで一直線、のちガチャンと即隔離。

しつこいけど本当に病院車にしてよかった。病院車なら親なしで乗ることになっても安心。置いていくのは大きい子どもと言えど去年までは小さい子どもだったような大きい子たちだもの。そして、わたしが初めての病院内を安全ルートですいすい移動できるわけない。そんな心配が大幅に軽減した。

 

取るものもとりあえず隔離されちゃってから、普通の入院よりだいぶ人の出入りが少ない事を知る。タイの病院はよく子どもだけで入院させられてて、心細い映像をよく目にするけど、ここの小児科は子どもだけの隔離はしないとのこと。あの映像をみてしまったら、そりゃ日本の親は付き添いを希望するだろなぁと思ったけど、病院としてもその希望を受け入れると同時に子のケアは万全になるので渡りに船よね。陰性の私がまさかのトイレ掃除、して大丈夫なん?って思ったけど、この状況ではせざるを得ない。毎日、簡単な床掃除とゴミの引き上げだけ。バスルーム周りはやらない。基本的にはなるべく部屋には近づかず、罹患者には極力触らないのだと思う。医療崩壊を起こさないためには必要な事だ。よしそれならと、消毒液とサニタイザー自分用のATKをGrabした。付き添いのセルフディフェンスは、いまや最重要課題。ワンオペ家庭だしね!実際、私の検査結果なんかみんな忘れちゃってて催促してやっと口頭で教えてもらった。もはや付き添いの感染は折り込み済み?・・・いろいろあるけど私は元気です。

 

そんな感じなので、細かい質問が浮かんでも聞くべき相手になかなか会えない。薬の事は先生だけど部屋に来るのは1日1回だし、コップの増量お願いはお掃除さんだし、お買い物ののことは?そんなことを考えてるだけで1日目は終了。翌朝、看護師さんから電話があり、容態のチェックと必要な物の有無を聞いてくれたので、ようやく質問が出来、それを元に2、3日目は環境整備で終了。

4日目の今朝、ようやくパソコンを開けている。

 

肝心の娘の容態は、2日目の朝には解熱。酸素もすぐに外れた。残るは頭痛と咽頭痛、そして関節痛。今になって少し咳が出ている。1度だけ下痢をし、1度だけ病院に置いてある薄そうなホットチョコレートの味がない・・・とつぶやいた。(※後日私が飲みましたところ物自体無味でした。患者さん用で砂糖とミルクが入ってないやつ。あれうつった?と思いました)

入院はしたものの、なかかなの回復力だと思う。

あとは後遺症がないことを祈るのみだ。

今朝はオンラインクラスにも参加してたけど、薬が効いてきてまたまた深い眠りに落ちていきました・・・。

 

いっぱい寝て早くよくなれよー

 

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