小事争論 こじ

アジア服・南国よろず屋ままかのボス。まだときどきちゃぶ台をひっくり返したりするけどだいぶ穏かになりました。

種をまく。

 


~踏まれて伸びよ青い麦

 

タイでもどうにか日本のテレビをリアルタイムで観られないかなぁと思って、奮闘していた。子ども達に8月6日の空気感を知って欲しかったから。だけど今年の記念式典はコロナの影響でとても参列者が少なく淋しい感じが否めなかった。当たり前だが年々、参列者は高齢になっていき、胸が痛む。

 

 

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偉そうに「子どもに平和教育を」なんてツイートしたけど、子どもの顔色をうかがいながら本当にゆっくりゆっくりやっている。ようやく、ここまで来た!と言う感じ。自然に興味が湧くように仕向けるなんて不自然だし、ここで不自然を貫いて苦手意識を持たれてしまっては元も子もない。りんとひょうが12歳(もうすぐ13歳)もかが10歳。ようやくロジックも立つようになってきていいタイミングです。これ以上遅くなると、まったくこちらの言うことを聞いてくれなくなりそうwそして歴史の授業もどんどん進んでいるし!当然ながらインターの歴史は世界史です。

 

ロックダウンで子らとの時間はたっぷり密。

これぞチャンスとスタートした母(私)による「平和と人権」講座。

 

私が子供に教えなくてはならないと思っている大事なことは、2つある。

平和教育と性教育だ。どちらも人権教育です。

どちらの話題も敷居を低くしておきたい。学校でもたくさん話を聞いてくればいい、さらに食卓でも話題が出てくるようでありたい。

 

 

上記のツイートの後、

 

「はだしのゲンなんてもう二度と見ないと思う」

「学校で見せられた映像がトラウマになってしまって、長い事苦しかった」

 

というツイートがけっこうな数で散見された。

 

あぁわたし「怖くても刺激が伴っても、どうしても必要」って言っちゃって、過去の平和教育のせいで眠れなくなってしまった子ども達の苦しみを、呼び起こしてしまったのじゃないかしら、と心配になった。

 

だって、私が一番心を砕いているのも「眠れなくなりませんように」と言う事だったから。話し始めるのをいつにするか、ずーっと子どもの顔を見ながら、タイミングを探ってきた。

 

私は最初から「世の中には残酷映像が満載」という前提で、あらゆるヒーローものの戦闘シーンも、やたらと血が噴き出す殺害シーンも隠さずに見せてきました。衝撃映像を見過ぎて慣れてしまうなんて抵抗ありますよね。でも恐怖映像にひっぱられて本質を見失うなんてことのないように、セルフセンサーをオンオフしながらお話の中へ入っていく能力は、お話を大きく理解するうえで大切です。うんこの話しながらご飯を食べたり、落ち着いてゴキブリを始末するってのも似ている(違うかもしれない)感情の境界を引く作業。出会える作品の幅が、俄然違ってくる。

まず映画や文章から都合の悪い所をカットしてしまった作品は、もうその作品の魂が欠けてしまっていると思うので、子の為だろうと作品いじりは絶対にしない。超いい作品なんだけど、まだちょっと無理かなってものはもうしばらくストックヤードです。

最近では子の方から「これ僕みません」と言われることもありwww、自分のキャパシティや好みを把握することも成長と呼んでいます。

 

もちろん、小さな子ども達や追体験に入り込みやすいお子さんは、視覚的な暴力から守られるべきだと思っています。性的な描写についても同様に。

 

特に、戦争で流される血や涙は、特別な意味をもっています。

今のうちはとにかく当時の人々の感情に寄り添えればよいと思っているけれど、やがて知りたくなかった事実を受け止めなければならなくなります。同じ状態を語るにしても、開ける扉によって風景が違います。加害者であることもまたつらいルーツです。クラスメイトには各国の子ども達が揃い、東アジアチームはことさら仲が良い。海外に住んでいると日本人としての振る舞いを求められたりするので、意図せず日本人としてのアイデンティティを掴みやすい。当事者性にも触れやすいかも知れません。どんな顔をして彼らと向き合うのか、大きな生の課題が目前にあります。

 

~大事なことは、共感と境界。

 

同じ様な日常を過ごしていた庶民の顔や声をまっすぐ引き寄せて考えられる想像力と共感力。同時に、取り返しのつかないつらい現実を受け止める大きな冷静さをもって、問題にきっちり境界を引きならがら全体を見つめる力を養うこと。多角的で広い視点からそして丁寧な手つきで検証すること。これは死ぬまで鍛錬せねばなりません。それが今始まったばかり。そしてこれは今後すべての問題に向き合う時に必要不可欠で、全ての人へ向けての祈りでありお守りになります。

 

私が子ども達に観せてきたのはこんなラインナップ。

一応、時系列に則っていろんな国の映画を観せています。

結構大事なのは、エンターテイメント作品であること。子どもも理解しやすくて有名なヒット作が良いと思っています。それから日本のテレビ局が時々制作するスペシャルドラマ。これには当時の日本の生活様式が見て取れるのがよい。空気感は想像力に大きな翼を与えると思うので。

丁度、日本語の練習用に「仁 JIN」を観ていたところだったので、この頃ヨーロッパはどんな時代だったでしょうかと「ミゼラブル」それから中国に渡って「ラストエンペラー」ここに満州が出てきたので、Paraviで探してTBSの終戦記念ドラマ「遠い約束」私も初鑑賞。で、第二次世界大戦になったのでいったんイタリアに飛んで「Life is beautiful」これ私が大好きな映画。アウシュビッツきたのでこのまま「シンドラーのリスト」にいきたかったんだけどDVDがイカレてて未だ観れず。さて沖縄へ戻って「さとうきび畑の唄」そして「アニメはだしのゲン」と。だんだん時系列がガタガタに。

これら全部を一気に観ているわけじゃなくて、日常的には日本語のコメディやサスペンスドラマを観ています。「平和と人権」は週に1回、鑑賞前には先生(私)の解説があり、なんとポテチとドリンクが許されます。これもとても大事です!

 

昨日は8月6日「今日は特別な日です」と明言してNHKスペシャル「証言と映像でつづる原爆投下・全記録」を。ここで始めてドキュメンタリーになりました。本物の映像はすごく刺さってたみたいです。これまで自分が調べたことや、学校でAtomicBomやった時まだ自分はそれを知らなくてちゃんと答えられなかったことなんかを口々に教えてくれました。その後New23。我が家でお馴染みの綾瀬はるかちゃんがお教室に入って来たのでめちゃくそ喜んでました。そしてせっかくテレビに出るのに高校生マスク外してやったっていいじゃないのよとか日本の変な生真面目さをやたら指摘しておりましたがw エノラゲイに乗機していた米兵じいちゃんが「私は謝らない」と断言したことについては重要なところなので、私から解説を入れました。こちらとしては「そんな風に言わないで欲しい」という思いもあるけど、そう言う彼のエッジも見えてくるじゃない。贖罪で生きていくことは出来なかったのかも知れない。それに、それがアメリカの一般的な考え方だとして「エノラゲイは世界を救ったヒーローだよ」と友達に言われたら、僕たちはどう応えられるだろうか。という話をしたりしました。今年13歳の双子は、もう何年かすれば、こういう話題に突然放り込まれることもあるでしょう。うまく話せなくても、顔を上げて自分で立っていて欲しい。

 

 

眠れなくなるようなトラウマを作る必要はまったくない。

だけど、これだけのことがあったんだから、寄り添えば寄り添う程、知れば知るほど傷つくに違いない。それでも、傷つくことを恐れないで、真実の蓋を開けて行くことが出来るようになってくれればと思っている。

 

今ならまだ伴走させてもらえそうだから一緒に走っています。

言語化の作業はこれからが本番。私もまだまだ勉強しなくちゃだ。