ついにケーキが膨らんだ。
こちらのオーブンのせいなのか、私が年をとったせいなのか(握力?)日本にいた時と同じレシピで同じものが出来上がらない。
私のケーキはまず先にコンセプトがあって、
「ノンオイル」
これは後片付けが格段に楽なので自分のためにそうしている。洗い物が楽だと、ほんと何台でも焼ける!そんな気になる。
それから
「白いお砂糖を極力控える」
せっかくおうちで食べるケーキなので、お砂糖が少なくて栄養のあるものにしたい。
インスタ映え狙う余裕はないが、それは後からついて来る。
きっとワイルドなイタリアのばあさんの作ったケーキみたいで良い。
(ワイルドなイタリアのばあさんのケーキは惜しげなく砂糖使ってると思うけど)
砂糖にはケーキを膨らませる役割がある。だから減らしてしまうと膨らみづらいに決まっている。でもこのくらい膨らめばまあいいよねっていうギリギリにたどり着きたい。
クックパッドで拾ってきたレシピで作ってみたら、なんだかつまんない仕上がりになった。まぁそりゃ材料が材料だから、どう失敗したって美味しいよね。何度かメレンゲを強く作ってみたり、少しずつ砂糖を増やしてみたり、そしたらパッとしないどころか完全に道を見失い泡だて器をもって荒野にただずむようになってしまった。
そこに、母さちこがやってきて、卵4、砂糖、粉、共に100という黄金比率で、おしゃべりしながら小麦粉に指突っ込んだりしながら、見事な高さのスポンジを焼き上げた。そのまま彪に伝授して、彪はついに誰からの指示も助けもなしに、さちこ以上のスポンジを焼き上げるようになった。
すぐに私もキッチンに立って、自分の手際をみてもらえばよかったのに。
50になった私の中の思春期が「めんどくせえよ」と膝を抱えて、ついに確認作業をせずさちこを帰してしまった。まぁあれで膨らむということがわかったので、オーブンのせいではないってことはわかったわなんて、大人ブリ。
とにかく、この迷い道が苦痛かというと、実に面白い。
クックパッドで好みのレシピを探し、youtubeで技術を学び、しぜんと「なぜ、ケーキは膨らむのか」という科学と向き合うことになる。youtubeとかみてると「ここは5分泡立ててください」とかとか言われると、持ってる泡だて器はだれしも同じ物ではないのに、なぜ5分と言い切れるのか、なぜ?私は知りたい。膨らまないという地獄にはロジックが必要なのである。「えーっと、それではオーブンを170度に予熱して、ここに入れまーす」ってだいぶダラダラ開けっ放しでやってるロジックのない奴のハウツーなど、早送り早送り!してしまうのだ。しかしそれでも奴のケーキは膨らんでいる!!(´;ω;`)
こんなに自分に厳しい私のケーキは、なぜ膨らまないのか。ロジックまみれの私はいつの間にか泡だて器をもって沼にたたずむようになってしまった。
砂糖を入れれば解決するぜ・・・・悪魔がささやくのだが
youtubeみながら気づいたのである。
砂糖が少なめ、ノンオイルでも焼けるといえばシフォンケーキ。粉をさっくり混ぜる工程がないのもいい。とにかくレシピが非常に好み。もうシフォンケーキでいいんじゃない??
やっぱり、いきなりいい感じまで行く!
だけど、だけどさ、基本的にシンプルな工程だからこそ、自分の落ち度が響く。泡だて器を持って沼にたたずむ僕は、あともう少し膨らみが、あともう少し焼き縮みなしに、あともう少し、あともう少し、と夜中に目覚めて「なんで膨らまないんだろう」って夢に泡だて器をもっていくようになった。
そもそもうちのオーブンの取説に従って焼くと、シフォンは頭が焦げすぎてしまう。温度を下げると下が焼けない。庫内温度を何度も調節しながら、天板を足網に、足網からクッキー型を足替わりに使ったりして、庫内の環境を整えた。まぁまぁ。だけど、まだなんかパッとしない。なんだよこのパッとしない感。でも、なんとなく、あと何回かでたどり着けそう・・・
今日は金曜日。
子ども達が学校帰りにお腹を空かせて遊びに来るので、おもいっきりたくさんケーキが焼ける。ちょっとよそ様に食べていただくには心をこじらせていて勇気が要ったのだけど、先週の金曜、キッチンにケーキが山のようにあるのに出さない方が不自然って空気になって、そーっとテーブルに置いてみたら、イラン人のアリが「すごいなぁお前の母ちゃんのケーキめちゃウマやー(私訳)」と3カットも食べてくれたので、こじらせが治り(早い)今日もアリの為に、紅茶を一台とチョコレートを一台焼いたのだ。
まず作る前にお祈りを(うそです)
まずは温度管理を徹底的に、そしてゾーニングも徹底的にやります(言いたかった)
卵白は凍らせて、卵黄は湯煎して、冷蔵庫から出した粉や砂糖は常温に。牛乳は膜が張らないように温め、庫内予熱温度は200度で一度温めてから170度で40分(型は24cmアメリカンサイズ)予定。ちなみに、もう泡立てに問題はないと判断したので砂糖は黒糖で。かなりミネラルありそうなので邪魔かもしれないけど、シフォンは黒砂糖と相性いいはずなので実験です。
覚書(24cm型の真ん中に瓶を突っ込んだやつ)
卵 6個
小麦粉 100g
黒糖 100g
牛乳 100g
紅茶ティーパック 3袋
しかし、こんなに真摯に向き合ってるのに、私は私に裏切られるのです。
なんと、足替わりにしていたクッキー型(意味わからなくてもいいですが)を入れるの忘れてしまい、型を直置きしてしまった_| ̄|○
あーーーーーーー!!って思ったけど、それも試してみたかったから今回はもうオーブンを開けずに続行。
黒煙と共に焼きあがりましたがwww、竹串の通る感触が「これだ!」という感じ!パッとしたパッとした!やっぱり下からの火が弱かったんだな。
2台目のチョコレートはクッキー型を置きその上に型(日本的18cm)を乗せて、180度で35分焼いてみた。ココアパウダーと黒砂糖がどこまで気泡をつぶすかなー
覚書(18cmこのくらいなら瓶突っ込まなくてもいけるはず)
卵 4個
小麦粉 60g
ココアパウダー 20g
黒糖 70g
牛乳 60g
ココア生地① 出たーーモリモリ~。焼き縮みもなさそう!串もさくっといい感触。
もう少し冷やしてから型から外さないと縮むだろうけど、もうお客さんが食べたい食べたい言うので、もう温かいやつを出しました。縮む暇もなく胃袋。
ココア生地画像② 冷ます前。シフォンケーキは逆さにして冷まさないと自重でつぶれてしまうのです。どうやって逆さにするかは内緒です。
紅茶画像① 子ども(どろどろした駄菓子やスパイシースナックが好物なやつら)には、ちょっと不人気。しかも焦げてるしな。
紅茶画像② うっかり直置きしたために、底が焦げ、黒煙を噴き上げながら産声をあげましたが、しっかり火が通るという意味をわたしに教えてくれました。
あとは、好みの問題かな。
膨らんだけど、キメは膨らんでない方のが好みだったので、要研究かー。
今日は夢を見ないで寝たい。