私は小田舎に住んでいるので、エアポートリンクによく乗る。
ある日マッカサンからエアポートリンクに乗ると、座席一列の半分を占めて中国人親戚一同が座っていた。顔がwそっくり見事な親戚一同だ。しかし雰囲気がなんだか固い。目の前に立ったら、すぐにわかった。声を噛み殺しながら小さな男の子が泣いている。お父さんは興味なさそうに顔を背けていてなんとも冷たい態度。隣に座っているそっくり顔のお兄ちゃんはうつむいて、時が過ぎ去るのを待ってるようだった。親戚一同もなにやら会話しながらも干渉しない体である。
どうしてそんなことになっちゃったのかなぁ。男の子が何かわがままを言ったんだろうか。
タイ人は子どもを叱らないので、それはもうちょっとどうにかしなさいよ、というほど叱らないので(気分で叩いたりはする)子どもが泣いているのに声も掛けないなんて、とっても落ち着かない。私だってそうだ。誰かブレークスルーしちゃえよ。飴ちゃんやで~ってやっておしまい!って思ったけど、外国人が多いこともあってかいつものお節介は発動されない。
そのうち男の子の声はしだいに大きくなってきて、お父さんになにやら訴えだした。空港も近づいてくる。
待っていた言葉が耳に飛び込んだのかな。お父さんがゆっくり男の子の顔を覗き込んでそれからて耳元で何かささやいた。男の子がウンウン言うとお父さんは彼を持ち上げて、膝に乗せてぎゅーって抱いた。お父さんが泣きそうになっていた。ぎゅーって何度も抱いて、お父さんが体を揺らして男の子の頭をいっぱい撫でる。お父さんつらかった。がんばってたんだ。顔そっくりのお兄ちゃんがうつむいたままで笑っている。
「よかった!よかった!」と心で叫ぶわたし。男の子ほっとしたろうと思うと、そしてお父さんの心中を思うと泣けて、思わず中国人一家の隣から並んでるタイ人おばちゃんに同意を求めて向き直ると、4人並んだおばちゃん全員が涙目である。口を開くと号泣しそうなので、目でしゃべるwww
空港より手前の駅で私は降りた。
降りてもしばらく、ぎゅーって抱いてたお父さんの顔を思い出しては涙が出た。ソンテウの中でなきべそかいてる不審者。
もうお父さん、怒らないでね。
楽しい帰路になりますように。