小事争論 こじ

アジア服・南国よろず屋ままかのボス。まだときどきちゃぶ台をひっくり返したりするけどだいぶ穏かになりました。

百伽の耳3

本当に心配な事は、もっと大きくなってお友達とお話をしたり 外で遊んだりする時に、うまくコミュニケーションが取れず 誤解をされたりいじめられたりしないかな、とか。今心配して もしょうがない事なんかが母としては気になる。そればかりは 母が先回りして取り除いやるわけにはいかない事で、どんなに 幼かろうが孤独だろうが自分で消化しなくちゃならない課題だ。 耳なんか悪くなくてもどの子もどの子もそうして大きくなる。 百伽が今から鍛錬しているのは「人と繋がって築いていく」事 に必要なスキルの開発なのだ。 保健師さんは本当に良い人で私が百伽を授かって楽しいばかり だと言う話を、涙ながらに聞いてくれた。「お母さん素晴らし い」と褒めまくり。ええ、そんなにご好評なら私が入園するん だったら良かったんですがね。惜しい。 本当に楽しいばかりで、泣ける事なんてなにもなかったん ですよ・・・。 「では最後に、何かお困り事があればどうぞご相談下さい」と。 「困った事ではないですけど、今日ここに呼ばれた事は驚き ましたね。私たち家族にとって百伽の耳はもう仕方のない事 だし、片耳聞こえてりゃなんとかなるだろ、位の話なんだけど 役所から呼ばれて個別に面談なんて、ああ、こういう事がこれ から度々あるんだなあって。逆に耳が悪い事は特別ですよって 声を掛けられた様な気になりました」 片耳難聴なんて書類に書かなきゃ誰にも判らん。しかし何かの 折に百伽がやりづらい事が起きてはならないし、その時に聞い てなかった、言ってなかった、じゃ百伽に悪いと思ったのだ。 一番心配なのは安全面だが、特別扱いして欲しい訳ではない。 ただ日常のちょっとした親切はありがたく頂戴したいので、 お世話して下さる先生の脳みそに小さい※を付けておいて 欲しかった。だから追記をしたのだ。 年を重ねるにつれ、だんだん人に言うのが面倒くさくなった ・・・と片耳難聴の人が言っていた。産まれた時からこの状態 が普通で、自分の「障害」とか誰かの「責任」とかそんな話は なんだかぜんぜん現実感がなく、そのうち親しい間柄にだけ 「ごめん、こっち聞こえてないから」と言うのぐらいが丁度 良くなったって。それをさらっと言える様になってからは問題 なくなったと。 これですよ。このさらっと言えるだけの器とそんな人間関係を 作れる力が備わっていれば、もう大合格の大満足! ま、それが出来る様な経験値を獲得するまで、母は心配で調書 に書き続けるんでしょう。そしてその度同じ事が起きるんだ。 でも何度も言うけどさ、ご飯が美味しい毎日が続くんならそん なの苦でも屁でもなんでもない。 数日後、お陰様で晴れて入園許可が降りました。 今日も百伽のんは保育園のユラユラでうつらうつらしている事 でしょう。いつの間にかシャケとポテトのマッシュなんて、 動物性たんぱく質を摂っちゃってたりして、それも足らなくて 隣の子のお皿見つめてたなんて話を聞いて父母は笑っています。 ふー 最後まで読んで下さってありがとうm(_ _)m