双子とアジアリゾート。その2
で、象にも乗った。
リゾート地には格安のツアーがてんこもり。ホテル内のツアーカウンターはもちろん
その辺のよろず屋さんでも気楽にエントリー出来る。マリオットの用意していた
パンフレットのエレファントサファリでも良かったがこれしか選択肢がなく様子も相場
も良く分からない。ちょっとよろず屋のおばちゃんに聞いてみようとついでに洗濯物も
持っていく。よろず屋さんは、コンビニ的飲料食料の販売はもちろん、両替、ツアーの
斡旋、洗濯(1kg80バーツ)と、本当になんでも屋さん。便利です。ままかの目指すとこ
ろですちなみにこの日の洗濯物は3kg=240bth(720円)ちょっとリゾート価格では
あるが、ありがたい。
「マングローブや滝でのカヌー」「小象のショー」「お猿にエサやり」「蘭農園でお花
の観賞」etc・・・エレファントサファリには何やかにやオマケが付いている。4in1!と
か謳ったツアーが多い。しかしそんなに盛りだくさんでも子供は疲れるだけなので、象に
だけ乗れればいいんだけど。そして彪が車に酔うので、移動時間の短い場所でやりたいん
だけど。我々のぼやきにおばちゃんの選んでくれたツアーは「象に乗るだけ60分」60分っ
て、長くない???とちらっと思ったんだけど、しかしパンフレットに短い時間の設定は
載ってない。日本人特有の「決まっている事は決まったままに」の習慣が言葉を飲み込ま
せたが、ああ今思えばそこは南国タイランド。なんでもありのなんでもOKマイペンライ
だったんだから聞いてみれば良かったんだよなぁ・・・と、言うくらいだからやっぱり
長かったよ。ああ、長いさ!象に1時間も乗っちゃいけないよ!よい子のみんな!
約束の時間より10分も早くロビーに迎車が到着。長らくタイと付き合っているが
初めての事である。そして運転しているのがよろず屋のおばちゃんと言うにもまたびっ
くり。ツアー会社が車を用意出来なかったからタクシーに乗ってって!とおばちゃん。
隣のよろず屋前で降ろされソンテウ(乗り合いトラック)に乗り換えさせられる。
タクシー・・・と言えばタクシーだけど。かえって子供も喜ぶかなと思ったけど、やは
りプーケットの道は険しい間もなく親子共々黄色くなった。白旗寸前で
ライディング場に到着。
そもそも繁華街のパトンの何処にそんな場所があるんだろう、とは思っていたのだ。
そこは道を作るために切り崩された山の雑木林。車道脇の崖だ。象のいる小さな広場
までの狭い獣道には簡素で荒んだ住居がポツポツと見受けられる。象使いの住居かも
知れない。そこには受付と象に乗るための足場と象だけ。まさに乗るだけのニーズに
はばっちり応えているよ受付のボードのメニューは30分、45分、60分と短い時間も
あるではないか!と気付きつつも「契約は無理してもそのまま遂行」する日本人の習慣
がまたも言葉を飲み込ませる。追い立てられるようにそのまま2組に分かれて乗象。
そしてすぐさま記念写真をパチリ
象に乗ってしまえば家族の誰もが被写体で自分達では写真を撮れない。記念に残そうと
思えばこの1枚200thbを買うはめになるのである。
抗えない観光の決まりごとなのである。
とにもかくにも山の様に詰まれた象のうんちを右に、無造作に捨てられたペットボ
トルやスナック菓子の空き袋を左に、象はゆっくりと山を登り始める。すごい高さ
と揺れにチーム母&凛も機嫌良く悲鳴を上げていたが、実際には象はでか過ぎて凛
には足元の象の皮膚と耳、遠くの海しか見えてないみたいだ。雑木林も山の様に深
まり雰囲気も高まった所で、象の足元を金髪の外人が通過。ここは象しか歩けない
険しい山道と言う設定ではないのか?!高みから外人を観察すると、どうやらボラ
ンティアの様である。この雑木林には野良犬を保護する施設があり、大きな檻に収
監された無数の犬が吼え続けていた。動物愛護の人かなにかでしょう。象使いのお
じちゃんも余り生活は良くなさそうだ。酷い白内障を治すでもなく目でなく「勘」
で象に乗ってるおじちゃん。それでいいのかおじちゃん。おじちゃんの疲れた背中
を見つめながらいろいろ考える。もはやエレファントライドと言うより社会見学。
「ここが一番の絶景ポイントですよ!」とばかりに象が立ち止まるが、その止まって
る時間も苦痛になりだした30分後。登りはともかく下りはまだ象の頭に足の着かない
凛には宙ぶらりんと同じ状態。母は必死に抱き続けるしかなくかなりつらい!
「早く動け!」と心で叫ぶ母に対して「ぞうさん、かーかんとりんくん乗せて重い
からお水飲んでね。休憩だね」と話す息子。たちまち諌められる母である。
実際、その絶景スポットよりもすごかったのは象の国道横断だ。雑木林を抜けると
フツーな顔してコンクリートの道路が現れ、次の絶景スポットに向かうため象は
車が行き交う路肩を小さくなって上手に歩き、車の切れ間で反対側に横断した。
高みから見た道路の向こうには大きな海。それはすごくタイっぽかった。
その頃にはすっかり曇っていた空が晴れだして、夕方とは言え陽が背を焼き始める。
慌てて自分のトップスを脱いで凛に着せる。子供用の長袖もお水も持って来ていた
のに、分け合うのをうっかり忘れていた。曇り空ですっかり警戒心も薄れていた。
水は母のバッグに、二人の上着は父のバッグに。凛の顔が見る見る上気するので頭や
背中に水をかけてやりこまめに飲ませるが、果たして心配なのは彪だ。上着は着て
いるもののやはり顔が赤い。父&彪チームの象使いが鞍から彪を抱き上げて、象の
頭に乗せてくれた。裸の象に乗れるなんて滅多にない事だけれど当の本人はぼうっ
としていてそれ所ではなさそうだ。もうそろそろゴールのはず。熱中症になって
なければいいけど・・・!ハラハラしながらなんとか到着。急いでお水を渡すと
ゴクゴクと一気に300ml位飲んだ。苦しかったね!
「ぞうさんにバナナ上げる!」と言うので腐ったバナナひと盛50thbを購入。
観光の決まりごとである。彪が父と共に懸命に手を伸ばし、象の鼻にバナナを
渡す。凛は昨日よろず屋のチワワに手をカプっとやられた後遺症で手が出せず
わーわー言うばかり。なんとか象がバナナを受け取ってくれたがそのとたん彪が
「べちゃべちゃ!」と手のひらを見る。「鼻水だね!」と同じく手をびちゃび
ちゃにしている父が言うと、凛がヒッヒッヒざまみろ的に笑った。
バナナがなくなれば用なしだ。とっとと帰りのソンテウに押し込められ直帰。
ホテルのロビーでへたり込んだのは他でもない私。ああ気持ち悪いったら。
ぐずぐずと部屋に戻ってしばし意識不明。
あーーー
それにしても。
荒れた雑木林に粗末な住居、捨てられたゴミにうんこの山、路肩を歩く象
バナナにたかるハエ、たくさんの犬の咆哮と象の匂いもあいまって、なんだか
夢を見ていたみたいだ。そして今夜夢に出てきそう。
金を払って苦労したのは理不尽ではあるが、ちょっと変ったエレファントライド。
思い出深いものとなった。←でもリピはない(断言)
さてと明日は何処へ行こうか。
まだまだ旅はつーづーくー