小事争論 こじ

アジア服・南国よろず屋ままかのボス。まだときどきちゃぶ台をひっくり返したりするけどだいぶ穏かになりました。

百伽の耳

百伽の左耳はほとんど聞こえない。 産まれてすぐの聴覚スクリーニング検査で何度もひっかかり (なぜかその時は右耳の診断だったんだが) その後の精密検査も残念な結果だった。今は3ヶ月に一度 ABRと言う検査を繰り返して言語の習得に支障があるかを みている。1歳を過ぎた辺りからどういう生活をしていく かが課題だ。その難聴の原因が何によるものなのか?とか そう言う事を探る検査ではないのでなぜそうなったのかは わからない。ただこのままの聴力が保てれば、あまり日常 生活に支障はなかろうと主治医からは言われている。 私も齢40歳にして←翌日には41歳だったが!ご高齢で第3子の 出産だもの、もっと重篤な障害を持って産まれて来る事だって 出産時に事故が起きる事だって充分に考えられたのだし、 痛みを伴う病とか、あまり長く一緒にいられない体とかでなく 取りあえず元気で毎日美味しいご飯が食べられる体でいてくれ る事が、改めてありがたい。そう気付かされむしろありがたい くらいだ。片耳難聴なんぞはハンデでもなんでもない。と心底 思っている。判った時も気になったのは彼女に痛みがあったり 音がコントロール出来ずに苦痛があるかとか、そういう事で しかしすやすや眠る横顔からはどうもそれは考え過ぎと思われ た。その後も、実際百伽はかなり音に敏感だし、音の好みもあ って、おそらくこの検査を受けていなければ絶対に気付かなか っただろうと思う。左側からの突然車が突っ込んでくるとか、 左耳にプロポーズをささやかれるとか、そう言う不測の事態に 心備えはするが・・・。 分らないが判って良かった、と思うことが最近になって多い。 春になって窓を開けたまま仕事をしていることが多い。この 季節は近くの野鳥園から来るいろいろな鳥が庭の木に止まって 楽しげなさえずりを聞かせてくれる。ある日、鳥達がいっせい に羽ばたいて大きな鳴き声をあげると、百伽が驚いてそちら を見上げていた。左側からの音だったがちゃんと方向も間違 えず窓の方へ顔を向けていた。実は右耳も平均にやや届かな い位でけして良くはないのだが、その良くない右耳で正しい 音の方向を捕まえる訓練を彼女は1人で始めているのだ。 すごいなぁ、と思う。事足りぬ部位があれば自然にそれを 補っていく。それを成長と言うのだろうな。 生き物ってすごい、と思うし、百伽さんもすごい、と思う。 これ、知らなかったら、こんな風に彼女の成長を感受でき なかったはずだ。違う肉体である母は、手助けも何もしてや れず、ただその努力でもない、自然に生きていく為に働いて いる新しい機能の開発を見守るしかないが、本当にちょい ちょい「あ、それってなんかすごいね」と言うことが起きて 感謝でいっぱいになる。 静かな母との日常は、そんな風にのどかでありました。 んがー、しかし、そんな百伽さんが保育園と言うパブリック な場所へと行く事となり、これまたへー!と思う事が起きる のであった。家族にとってその問題がさほどたいした事でな くても、社会的にはなんだかいろいろ面倒くさい事が起きて 来るのだ。 つーづーくー