小事争論 こじ

アジア服・南国よろず屋ままかのボス。まだときどきちゃぶ台をひっくり返したりするけどだいぶ穏かになりました。

君と世界の戦いでは

「ハンコーキー!」と言っていた彪。 やたらと抗っていたのはハンコーキーなばかりではなかったようで 先日、激しいチックが現れた。 その日は休日だったので某有名ショッピングモールまでご飯を食べ に出掛けたのだが、移動の電車の中でもやたら駄々をこね、到着し てからもグズグズと泣いてばかりいたのだ。しかしまぁ反抗期なの で仕方がないと適当にあしらってみたり、眠いのか?と思って抱い てみたりバギーでグルグル歩き回ったり。それがどうも彼の求めて いるものではなく、良かれと思ってした事はむしろ症状を引き出す きっかけになってしまったようで、今振り返っても胸が痛い。 なぜか大好きなアンパンマンのビデオを見ている時が一番酷い。 物凄い勢いで集中して吸収しようと緊張しているのか?激しい瞬き で画面もろくに見えてなさそうだ。まさかまさかの事態に父も彪 を抱きしめながらひたすら困惑している。 まずはチックと決めてかかる前に、眼科に行こう。もし目に異常が あったらそれも一大事だ。 翌日いつもの様に双子は揃って登園したが、1時間後には彪だけを そっと連れ出して病院へ向かった。なんで自分だけが連れ出された のかと不安なのか電車の中でも顔全体で瞬きを繰り返していた。 乗っていた電車を降りて「電車バイバイ」と手を振る時も顔が大きく歪んでヒクつく。 知能検査の様な視力検査。看護師さんの持っているパネルには動物 のシルエットが描れていて「ひょうちゃんこれなぁに?」と聞いて 来るので、彪は自分が持ってるパネルから同じ動物を見つけて指差 して答えていく。看護師さんの動物はだんだん小さくなっていくか らどの大きさまで見えるかで視力がわかるのだ。看護師さんと彪の 持っているパネルの動物はまったく同じシルエットではなく、向き が違っていたり違う動きだったりするから、その動物が何の動物か わかっていないと正解しない。ゲームみたいだ。もちろん彪はそん な遊びは初めてだけれど、おおかた答えられて看護師さんに褒め てもらえた。本当だったらニコニコと喜びを顕にする人なのにテン ションはかぜん低い。私の緊張が伝わってしまっているのもあるの だろうが・・・。 子供専門の眼科なだけにチックの子は多く訪れるのだろう。 先生曰く「視力には問題なく、むしろこの年齢では良い方です。 何か最近環境に変化はありませんでしたか?」と話はすぐにそっち 方面に。「妹さんが現れて自分が双子なんじゃー間違いなくチック でしょうね」と先生は穏やかに申され「でもお母さん、ここに座っ ててもひょう君は症状が出てません。今日お母さんを独占した事で だいぶ落ち着いたんじゃないですか?」と、おや、見れば確かに 今は瞬きが止まっている。 帰りはお昼もだいぶ回ってしまったので、大好きなミスタードーナ ツへ寄った。とてもお腹が空いていたらしく意中のドーナツそっち のけで海鮮麺にしばし集中。楽しみにしてたドーナツは周りの砂糖 を舐めただけでお腹いっぱいになってしまった。 理屈と感情の矛盾が小さな胸いっぱいになって、ついにこぼれて しまったんだろう。ちゃんと見ているつもりだったのに、全然違う 所を見ていたんだなぁと。腰が痛くて思うように抱いてやれず、疲 れた小さな手を引きながらゆっくりゆっくり歩いて帰る。申し訳な い情けない気持ちになるが、でも産まれてからまだ2年しか経って いないのに真正面から人生と闘う息子を誇りにも思う。どう考えた って妹は消えてなくならないし、父や母は替えられない。世界と自 分の戦いでは世界に軍配が上がっているのだ。自分を変えなくては 生きていけない。「ひょうちゃん、生きるのは大変だねぇ」と 思うわず口に出てしまった。それにこうして表現してくれた事にも 感謝を思う。この人はピンチになるとこう言う表現をすると言う 事がわかり、また凛が表に出さないタイプなら同じ様に今かなり キツイ思いをしているはずだと言う事がわかった。もう少し丁寧に お付き合いしないといけないのですね。彪さん、ありがとう。 その日でチックはだいぶ落ち着き、翌日はもうチックは出ずしかし 笑わず、翌々日にほぼ復活。かなり酷い症状だったにも関わらず 今回は急性でとりあえず治まったみたい。 それ以来彼は「カーカン!かぁかーーーーん!カーカン!!」と私が自分 の方を向くまで大きな声で呼び続けている。遠慮してはイカン!と 悟ったらしい(笑 親が頼りないので子供がまた大人になってしまいました。 深く、反省。